身分系(家族系)の在留資格の一つに「定住者」というものがあります。
「定住者」の中にも、「告示定住」と「告示外定住」という2種類があります。
「告示定住」では、法務大臣があらかじめ告示によって、一定の類型を決めておき、それに該当する場合に、「定住者」として入国・在留が認められます。
一方、「告示外定住」では、個別のケースにおいて、人道上の理由や特別な事情を総合的に検討し、判断され、「定住者」の在留資格が与えられます。
ここでは、あらかじめ一定の要件に当てはまる場合に付与される「告示定住」についてみていきます。
「告示定住」の「定住者」には、一定の要件を満たした難民、中国残留邦人、日系人およびその配偶者や未成年の実子などがあてはまります。
「告示定住」の「定住者」の中で、多数を占めるのは、「日系人」です。
「日系人」といっても、全ての日系人がこの在留資格で入国・在留できるわけではありません。
以下のいずれかの要件に当てはまる場合の日系人のみ「定住者」となります。
①定住者告示3号
日本人の子として出生した者の実子(第1号又は第8号に該当する者を除く。)であって、素行が善良であるものに係るもの
②定住者告示4号
「日本人の子として出生した者」で、かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるものの実子の実子( 第1号、3号又は第8号に該当する者を除く。)であって、素行が善良であるものに係るもの
この入管法の条文だけ読むと、まるでなぞなぞのようで、どの日系人がこれらに該当するのか非常に分かりづらいです。これをかみ砕いていうと、
①定住者告示3号
A) 日本人の孫(日系1世が日本国籍離脱をしていない場合の孫にあたる日系3世)
B) 日本人の実子(日系1世が日本国籍を離脱してから生まれた実子にあたる日系2世)
C) 元日本人の孫(日系1世が日本国籍を離脱しているものの、国籍離脱前に生まれた実子の実子にあたる日系3世)
②定住者告示4号
D) 元日本人の孫(日系1世が日本国籍を離脱しており、国籍離脱後に生まれた実子の実子にあたる日系3世)
※日本国籍離脱とは、移民先の国で帰化していることを表しています。
また、AとBについては、素行善良の要件はありませんが、CとDについては、素行善良の要件が求められており、CとDにあたる日系3世については、住んでいる国の警察機関から「無犯罪証明書」を発行してもらう必要があります。このように、同じ日系3世でも入管への提出書類が異なりますので、申請者がどれにあてはまるのか見極める必要があります。
同様に、日系2世についても、日系1世が日本国籍を離脱しているか、していないかで在留資格が異なるので、注意が必要です。在留資格が異なると、提出が必要な書類も異なります。
日本国籍のままの日系1世の実子や、日系1世が日本国籍を離脱しているものの日本国籍離脱前に生まれた実子は「日本人の配偶者等」の在留資格にあたります。
一方、日系1世が日本国籍離脱後に生まれた実子は、上記の「定住者」という在留資格にあたります。
ポイントは、実子がうまれた時点で日系1世が日本国籍を離脱していたか否かです。
このように、日系人がどの在留資格にあたり、どのような提出書類が必要かについては、複雑な規定がありますので、詳しくは弊所までお問い合わせください。