海外で所在不明となった相続人がいる場合

海外で所在不明となった相続人がいる場合

2022-07-26

日本国籍を有する相続人の一人(または複数人)が海外へ移住し、その後、所在不明になった場合、このままでは、遺産分割協議を進めることができません。そこで、家庭裁判所において「失踪宣告」や「不在者財産管理人の選任」を行うことになります。

失踪宣告

行方不明の状態が7年以上続いている場合、管轄の家庭裁判所で失踪宣告の申立てができます。承認されるまで、およそ半年くらいかかりますが、失踪宣告が承認されると、所在不明の相続人が法律上死亡したものとみなされます。失踪宣告の承認後は、残りの相続人で遺産分割協議を進めることができます。

不在者財産管理人の選任

行方不明の状態が7年未満である場合、または、行方不明の状態が7年以上でも諸事情により失踪宣告をおこないたくない場合、管轄の家庭裁判所で不在者財産管理人の選任の申立てができます。承認されるまで、およそ半年~1年間くらいかかります。不在者財産管理人には、弁護士や司法書士などが選任されます。不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割協議への参加、不動産の売却等を行うことができます。

行方不明者の所在調査

失踪宣告についても、不在者財産管理人の選任についても、家庭裁判所へ申立てをする前に、海外の行方不明者について十分な調査が求められ、「長期間日本に不在であったことを証明する資料」や「海外で行方不明になった事情」や「これまでに行方不明の相続人を探した状況」等の証拠を提出する必要があります。

行方不明者の所在調査の方法としては、外務省での所在調査(以下のリンク参照のこと)や各国の日本人会/県人会を通した所在調査などの方法があります。
外務省での所在調査は、所在不明の日本人の住所・連絡先等を、在外公館が保有する資料を基に調べる公的な制度です。しかし、所在不明の相続人が、居住国で帰化し、日本国籍を失っているような場合には、調査の対象とはなりません。
一方、各国の日本人会や県人会を通した調査は、私的な調査であり、弊所でお手伝いできる調査です。また、相続人が日本国籍を失っていても、調査ができます。

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