スタートアップビザとはどんなビザ?
2022年6月現在、大阪市を含む12の地方自治体で起業を目指す外国人は、スタートアップビザという特殊なビザを取得することができます。
このような制度が設けられた理由を理解するには、外国人が日本で事業を興す際のハードルの高さを知る必要があります。
外国人が日本で事業を起こすには
外国人が日本で事業の経営を行うには、「経営・管理」の在留資格を取得しなければいけません。
それには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 事業所として使用する施設が確保されていること
- 経営又は管理に従事する者以外に二人以上の常勤職員(日本人または永住者)を雇用、もしくは、資本金の額又は出資金の総額が金500万円以上であること
この要件を満たすには、まず不動産物件の確保が必要で、そのうえ物件確保のための住民登録や銀行口座開設など、やらねばならないことが数多くあります。
日本で中長期滞在者として居住していて、既にある程度の人脈や生活基盤が整っていないと、「経営・管理」の在留資格を取得するハードルはきわめて高いというのが現実です。
スタートアップビザ
そこで、日本での人脈や生活基盤がない外国人でも、より簡単に「経営・管理」の在留資格取得ができるようにするため、「スタートアップビザ」の制度が作られました。
上記の基準を満たす前であっても、外国人起業家が起業準備活動計画(ビジネス計画)を提出し、1年以内に「経営・管理」の在留資格要件を満たす見込みであると判断された場合には、大阪市などの認定地方自治体が確認証明書を発行してくれます。
この確認証明書と必要書類を出入国在留管理局に提出し、審査を受けることにより、最長1年間の「特定活動」という在留資格が得られます。この在留資格のもと、外国人起業家は起業活動を行うことができます。
「スタートアップビザ」を取得すると、まずは6カ月在留することが可能になります。その間に銀行口座を開設し、不動産物件探しや従業員探しをすることができるようになります。最終的に、上記の要件を整えることができれば、「経営・管理」の在留資格を取得することになります。
ただし、「スタートアップビザ」により「特定活動」の在留資格を取得した場合、日本に滞在している間は就労してお金を稼ぐことができません。よって、最初からある程度のまとまった資金を有している必要があります。
また、起業準備活動計画として、日本語で記載された損益計算書、資金繰り計画、行動計画などの書類を提出する必要があります。
大阪市での申請の流れ
大阪市で開業する場合の「スタートアップビザ」の申請の流れです。
- 本人または代理人(行政書士など)が申請書類を大阪市へ提出。
- 大阪市での書類審査。2週間程度かかります。
- 大阪市での面談審査。この時には本人が来日している必要あり。
- 審査を通過したら、大阪市が「企業準備活動計画確認証明書」を発行。面談審査から確認証明書発行 まで2週間程度。
- 確認証明書とその他必要書類を揃え、入国管理局に「在留資格認定証明書(CoE)」を申請。(本人か代理人がおこなう。)申請からCoEの発行まで1カ月程度。
- 一旦帰国し、自国の日本大使館/領事館で査証(スタートアップビザ)の発給申請。
- スタートアップがパスポートに発給されたら、再来日。
- 起業準備開始。
「スタートアップビザ」の申請が向いている人は、「資金はあるが、日本に協力者がいない人」や「本格的に事業を始める前に、日本でテストマーケティングをしたい人」などです。
詳しいご相談をされたい場合は、ぜひ弊所までお問い合わせ下さい。
経済産業省のWebサイトに、英語版の説明があります。